広州トリエンナーレ

btap2005-11-18

広州トリエンナーレのオープニングにあわせ、広州、深せん、香港を回ってきました。追って、深せん、香港レポートも書きます。

  • 北京と広州

北京と上海という比較をよくされますが、中国を北と南とで比較するのであれば北京と広州とで考えたほうがいいくらい、広州にはまた独特の中国的雰囲気がある、というのが今回の出張で強く感じたことです。
広州は気候が温暖で首都からも遠く政治的な要素を意識する機会があまりないこともあり、人々は陽気、雰囲気も解放的で(治安も少し悪いですが)、北京と正反対。作品についても北京は、重たく威厳があり、生活の背景にある政治的な体制を意識したものが多いのに対し、広州はかろやかで明るく、生活の表層的な部分に目が向けられています。

  • CaoFeiとLiuDing

広州で有名な作家としてCaoFei(森で開催されたFollow Me!で庶民がラップのリズムに合わせて踊る映像作品を出展、1978生)が挙げられますが、彼女が今回出展したShow形式の作品では、若者が建設工や娼婦、エリートOL、ゴミ拾いをして生活している乞食などのコスチュームを着てその役になりきり(=コスチュームプレイ)、中国社会が抱える所得格差、社会問題、矛盾といったとてもきわどい部分を扱いつつも、それをラップのリズムに合わせ軽やかに演じきってしまう、また北京の作家とは違った作品の面白さがありました。Showには約30名ほどが出演、約10分程度の短編が計12ほど休みなく続き、展開の速さ、大勢の率いる統率力、そして扱う内容と表現方法のきわどさを軽やかにまとめあげるCaoFeiの能力に改めて感心させられました。もう一人、気になった作品としてはBTAPのPlayNotPlay展の際に作品を出していただいた、LiuDing(1976生)の作品。日常の生活品をスパンコールで紡ぎ、まるでダイヤの宝石のように見せる作品で、静かにずっしりと現在の中国の消費社会を批判しつつも、作品としての美しさがありました。このまだ若い二人の作品を通じても、北と南、北京と広州との表現の違い、それぞれの面白さを感じられます。

  • 多くの参加者

トリエンナーレの会場となった広州美術館ではWuHungさん、FengBoyiさん、PiLiさん、TanXingさん、LiaoWenさん、HuangRuiさん、SongDongさん、Timezone8のロバートさん、上海現代美術館のビクトリアルーさん、アーティストの小沢さん、森美術館の片岡さんと金さん、東京アートフェアの辛さん、国際交流基金の方々、ARTiTの小崎さんなどなど、多くの美術関係者と会うことができ、また彼ら経由で多くの人と知り合うことができました。